2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07F07796
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 和夫 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHANG Jinyong 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 粘液胞子虫 / 微胞子虫 / 水産学 / 脳脊髄炎 / べこ病 / ブリ |
Research Abstract |
ブリ類は日本で最も重要な海産養殖魚であるが、近年、未同定の粘液胞子虫による脳脊髄炎と筋肉寄生微胞子虫Microsporidium seriolaeによるべこ病の発生が増加しており、産業的に問題どなっている。本研究では、養殖ブリの脳脊髄炎の原因と推測される粘液胞子虫とM.seriolaeの疫学、生活環、病理生物学、宿主-寄生虫関係に関する基礎的知見を集積すること、および2種の疾病に関する早期診断法や感染防除法を開発することを目的とする。 ブリの脳脊髄炎について粘液胞子虫の疫学調査をPCR法により行った結果、この寄生虫は四国、九州地方に幅広く分布しており、外観的に発病していない健康魚からも高率で検出される場合があった。採集された寄生虫株のSSUrDNAを系統解析した結果、2つの遺伝子型があるように見えたが、ITS領域の解析結果からは、発病の有無、種苗の由来、養殖場の場所との関連は見出せなかった。ブリ脊髄組織内に寄生する初期の栄養体を検出できるin situハイブリダイゼーションを開発し、感染初期の寄生虫の動態を追跡する糸口をつかんだ。 ホシガレイのべこ病原因微胞子虫(Microsporidjum sp.SH)とM.seriolaeとの異同を検討した結果、Microsporidium sp.SHは胞子のサズがやや小さく、またrDNA配列では明らかに違いが認められたことから、両者は別種であると判断された。これは、ブリのべこ病の感染環にホシガレイは関じ与していないことを示す。ブリのべこ病の発生地域で無脊椎動物を採集し、PCR法で調査したところ、養殖筏に付着している多毛類から陽性反応がみられた。この結果は多毛類がM.seriolaeの生活環において中間宿主となっていることを示唆するが、今後、感染実験により証明する必要がある。
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Research Products
(2 results)