2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07F07796
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 和夫 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHANG Jinyong 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 粘液胞子虫 / 微胞子虫 / 水産学 / 脳脊髄炎 / べこ病 / ブリ / クロマグロ |
Research Abstract |
近年、日本の海産養殖魚に粘液胞子虫病や微胞子虫病が増加している。それらの中には養殖ブリの脳脊髄炎の原因とされる粘液胞子虫のように新しく発見されたものもあるが、ブリのべこ病原因微胞子虫のように古くから知られているものもある。本研究では、それらの寄生虫の疫学、生活環、病理生物学、宿主-寄生虫関係に関する基礎的知見を集積すること、および早期診断法や感染防除法を開発することを目的とする。 脳脊髄炎を呈する養殖ブリの脊髄から粘液胞子虫の遺伝子が採集され、SSU rDNA解析の結果、ブリの胆管寄生性Myxobolus spirosulcatusと同一であることが判明した。そこでM.spirosulcatusを特異的に検出するPCR法を開発し、海域に生息する300個体以上の無脊椎動物(多毛類等)を採集して検査したが、陽性反応は得られず、この寄生虫の生活環を解明することはできなかった。 長崎県のべこ病発生地域で200個体以上の無脊椎動物を採集し、PCRにより寄生の有無を調べた結果、2個体の多毛類から陽性反応がみられた。しかし、陸上水槽内で多毛類を未感染魚と同居することによる感染実験は不成功に終わった。また、べこ病発生地域でない愛媛県産多毛類からも陽性反応がみられたことから、この多毛類が中間宿主であることを証明するには至らなかった。 養殖クロマグロの脳と心臓からクドア属粘液胞子虫が、体側筋肉から微胞子虫が発見され、形態学および遺伝子解析により、それぞれKudoa yasunagai, K.shiomitsui,未記載のMicrosporidium sp.PBTであることが示された。これらの寄生虫の実態調査を行った結果、病害性については不明のまま残されたが、筋肉にシストを形成するMicrosporidium sp.PBTはマグロの商品価値を落とす可能性があると考えられた。
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Research Products
(1 results)