2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07F07797
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
國廣 悌二 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHANG Zhao 京都大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 量子色力学 / カイラル相転移 / カラー超伝導 / 臨界点 / 荷電中性 / ギャップレス超伝導 / ベクトル相互作用 |
Research Abstract |
量子色力学の現実的な相図を明らかにするべく、荷電中性およびベーダ平衡の条件を課してカイラル相転移とカラー超伝導への相転移を同時に考察した。低エネルギー現象の有効模型として知られる南部・ヨナラシニオ型の有効模型を用いた。その結果、次のことが分がった。荷電中性条件のためにカイラル相転移の強さが弱まり、カイラル結合とダイクォーク結合の強さの比によって、比較的低温度でのカイラル相転移が一次になったり二次になったりあるいはクロスオーバーになる。この効果は顕わにベクター結合を入れるのと類似している。しかも、カイラル結合が弱い場合には臨界点の数が3にもなることが判明した。 そこで、顕わにベクター結合を導入すると、確かに、荷電中性条件の効果が増大され、臨界点の数が4にまで増えることが分かった。また、より重大なことは、U(3)xU(3)不変なベクター相互作用を導入すると、荷電中性条件によるフレーバー毎のフェルミ球の相違が緩和され、ギャップレス領域のカラー磁気不安定性が回避し得るということである。この発見は高密度クォーク物質の物理学における重要な発見であり、長年の懸案を少なくとも部分的に解決したことになる。
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