2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07F07798
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 満 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WANG Jianquan 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ゲル / Hofmeister Series / 耐塩性 / 塩析 / 水素結合性水和 / 酸性プロトン / π電子系 / 感温性高分子 |
Research Abstract |
研究計画に従い,酸性プロトンとπ電子系を含む高分子(PVA-T)ゲルを調製し、硫酸塩存在下でゲル中水の特性をプロトンのT_2値とその割合の温度依存性により評価したところ,以下の結果を得た。1.ゲル中水は、その運動性が遅い成分と速い成分の2成分からなる。2.遅い成分の割合は、温度上昇または硫酸塩濃度の増大によるゲルの含水率の増大にともない、通常とは逆に増大する。3.遅い成分の増大は、分子間水素結合していた酸性プロトンが、温度上昇または硫酸塩濃度の増大により切断され自由になることにより、安定な水和構造が可能となるため生じる。 4.得られたT_2値は、通常の含水ゲルに近い。以上の結果より、酸性プロトンとπ電子系を含むPVA-Tポリマーゲル系は、ポリ(4-ビニルフェノール)(P4VPh)や、ポリ(4-ビニル安息香酸)と同様に、その水和水は特異的に安定化されることが分かった。また、高濃度の硫酸塩水溶液系で膨潤し、温度上昇・降下にともない、大きく膨潤・脱膨潤を繰り返すことのできることから、通常では不可能であった、塩析塩の存在下での高分子ゲルを調製することに成功した。今後の発展として、より調製の容易なP4VPh系でも、同様の感温性が発現する可能性がある。また、共通構造としての酸性プロトンとπ電子系の共存が如何にして水構造の安定化に寄与しているかを明らかとすることにより、疎水性高分子を骨格としながら高い親水性を有する新規な高分子材料の設計指針を得ることができた。
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Research Products
(4 results)