2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07F07807
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉澤 一成 Kyushu University, 先導物質化学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JUHASZ Gergely 九州大学, 先導物質化学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 量子化学 / スピン転移 / 遷移金属錯体 / 電子物性 / 磁気的性質 |
Research Abstract |
スピン転移現象は、熱の他に、光の照射や圧力の変化などによっても生じる。トリス(2-アミノメチルピリジン)鉄(II)イオン錯体[Fe(2-pic)_3]^<2+>の磁気的性質は、121Kを境にして変化する。この錯体は、121K以下の温度では主配置として低スピン状態(一重項状態)をとり、それ以上の温度では高スピン状態(五重項状態)をとる。メスバウアースペクトルの測定から、低スピン状態と高スピン状態とのエネルギー差は約2.5kcal/molと見積もられている。熱によるスピン転移現象のメカニズムを理論的に解析している例は少ない。その理由として、従来の計算理論は、対象錯体の構造を正確に算出するが、そのエネルギーの安定性を実験的事実と逆に評価してしまう等の問題が存在することが挙げられる。そこで本研究では、[Fe(2-pic)_3]^<2+>錯体の熱的に生じるスピン転移現象のメカニズムを、密度汎関数法を用いて理論的に検討した。従来の理論が抱える問題点を克服するために、我々[Fe(2-pic)_3]^<2+>錯体の安定性を正確に評価する計算理論を比較検討した。比較した密度汎関数理論は、BLYP法、B3LYP法、B3LYP*法である。その結果、錯体の取りうる電子状態である一重項状態、三重項状態、五重項状態のポテンシャルエネルギー曲面の幾何学的構造が明らかとなった。これらの成果は雑誌論文、ならびに学会発表として報告された。
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Research Products
(3 results)