2010 Fiscal Year Annual Research Report
原子間クーロン崩壊における超高速ポンプ・プローブ分光法の理論的研究
Project/Area Number |
07F07811
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高塚 和夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SCHEIT Simona 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | エネルギー移動 / 化学反応 / クラスター / 電子動力学 / 光電電子分光 |
Research Abstract |
Simona Scheit氏は原子間クーロン崩壊における超高速ポンプ・プローブ分光法の理論的研究の一環として,Dynamical Zeeman effectと総称される方法を用いて,分子内電子移動による強い非断熱結合を有する分子における原子核波東の動力学を徹底的に調べた、その結果,従来に知られていない新しい量子干渉現象を発見するなど,超高速化学動力学全体にとっても重要な知見を得た.それらは主として,動的電場によってエネルギーが上下するイオン性結合のポテンシャル曲面における反射現象と,本来存在する非断熱結合領域の相対的位置関係から生まれる複雑な波動現象,および,それに伴う新たな干渉現象に由来するものであり,原子核動力学におけるアト秒動力学の新展開を告げる重要な成果である.この成果は,現在2報の論文として投稿直前の状態である、また,ここで展開された波束動力学の方法も,それ自体汎用性のある重要なものである. 理論的に予言されたこれらの現象は,ポンプ-プローブ光電子分光法の実験による観測可能性という観点から,さらに詳細な研究が続けてられている.特に,Scheit博士が予言した波束の刻々の時間変化を追跡するために,カルフォルニア工科大学のグループと共同研究が進行しており,さらに実験グループとの観測可能性の協同研究にも発展することが期待されている.また,原子間クーロン崩壊における原子間のエネルギー移動の電子働力学的メカニズムを明らかにするため,非断熱結合の理論と核波束動力学の同時動力学を展開すべく,研究を続けている.
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Research Products
(1 results)