2007 Fiscal Year Annual Research Report
金属-有機薄膜界面における電子特性とキャリア移動特性の研究
Project/Area Number |
07F07816
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
FRIEDLEIN Rainer Japan Advanced Institute of Science and Technology, マテリアルサイエンス研究科, 講師
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BUSSOLOTTI Fabio 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 有機 / 無機界面 / 有機半導体 / 角度分解紫外光電子分光 / 表面電子構造 / 界面準位 / 電荷輸送 |
Research Abstract |
初年度は、本研究で提案した有機薄膜と金属基板の界面における陽電荷キャリアと周辺環境との相互作用を理解し、界面を通したミクロなキャリア輸送との関係を明らかにするための実験を行うために必要な現有の高分解能紫外光電子分光装置の改造を行った。具体的には、超高真空中での有機分子薄膜の成長のモニタリングを可能とする水晶振動子膜厚計の設置や、単結晶金属基板の清浄化を可能にするアトムビームソースの設置などである。この装置を試験するために、単結晶グラファイト、及び、二硫化モリブデン上に芳香族有機分子薄膜を成長させる予備実験を行らた結果、成功した。 スウェーデンのルンドにある放射光施設、MAX-Labにおける三週間にわたる実験では、以下の様な成果が得られた。 1.)グラファイト上のテトラセン単分子層に対して共鳴光電子分光を行った。その結果、150K以下で得られる低温相では、5fsという超高速の分子から基板への単電子ホッピングが観測され、紫外光電子スペクトルの固有の形状と関連づけることに成功した。 2.)二硫化モリブデン上に、配向性の高い、新しい低温相のヘキサペリヘキサベンゾコロネン分子結晶膜の形成に成功し、その角度分解紫外光電子分光を行った。この低温相の特徴的な点として、高温相よりも格段に広い約0.7eVのバンド幅を持つ分子間バンド分散が挙げられる。このことは薄膜中に柱状ナノ構造が存在することを示唆している。
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