2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07F07828
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川勝 英樹 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HOEL Antonin 東京大学, 生産技術研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / フォースオッシレーション / 原子分解能 / ラテラル原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
原子分解能液中原子間力顕微鏡を完成させ、雲母、脂質二重膜の高分解能観察を可能とした。この原子間力顕微鏡は、ヘテロダインレーザドップラー計と光熱励振を組み合わせたもので、(1)10MHz程度までのカンチレバーの振動計測と振動励起が可能、(2)回折限界まで対物レンズで計測光をしぼることが可能、(3)液滴の温度制御が可能、(4)あらゆる周波数のカンチレバーや振動モードに対応できるよう、中間周波数10.7MHzに計測信号をシフトしている、などの利点を有する。この装置を用いて、脂質二重膜の観察において、試料探針間電位を制御し、その影響を調べた。また、探針試料間距離を変化させ、フォースカーブの取得を自動化した。探針を縦ぶりした場合、フォースオッシレーションが観察されること、また、探針を横振りした場合、フォースカーブがエクスカーションごとに大きく変化することを観察した。後者に関しても、原子分解能の撮像が可能となっているため、撮像の原理や、フォースカーブが大きく変化する理由、フォースカーブのどの斜面において制御がかかるのか、またそのときの像についての基本的知見をえるための顕微鏡と制御系を実現した。液中原子間力顕微鏡においては、探針、構造化した液体分子、バルクの液体分子、試料側の構造化した液体分子、試料など、超高真空環境と比較して、撮像に寄与する要素が大きく、真空では見られない力の場が存在する。また、探針試料間の構造は一定ではなく、ある法則には従うと期待されるものの、大きく揺らいでいるものである。本研究では、フォースカーブを連続して取得し、3次元的にフォースマップを評価することによって、時間依存性、場所依存性を切り分けて評価するようにつとめた。そのためのデータ取得プログラムを実現したことも大きな成果の一つである。
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Research Products
(1 results)