2009 Fiscal Year Annual Research Report
分子性半導体結晶デバイス界面の分光学的研究と有機エレクトロニクスへの展開
Project/Area Number |
07F07838
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
長谷川 達生 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 光技術研究部門, 研究グループ長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HAAS Simon 独立行政法人産業技術総合研究所, 光技術研究部門, 外国人特別研究員
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Keywords | 有機トランジスタ / 分子性結晶 / 有機エレクトロニクス / 分光学的研究 / 半導体界面 / 変調分光 |
Research Abstract |
近年の有機電界効果トランジスタの顕著な進歩に伴い,デバイス構造を利用して分子性半導体材料の新側面を切り拓く研究が可能になりつつある.本研究では、電界効果型デバイス構造を利用した変調分光測定によって,有機半導体界面に蓄積した電荷キャリヤの電子状態を明らかにする分光学的研究を進展させた.特に,有機トランジスタがユニポーラ型であるという特徴を活用し,半導体チャネルへの電場印加効果と電荷蓄積効果のそれぞれを,光吸収スペクトルの変化分として分離し測定することが可能なことを見出した(昨年度).本年度はこの手法をさらに展開し,電荷変調スペクトルの印加ゲート電圧依存性と温度依存性の詳細な測定を行い,スペクトル構造の起源を明らかにすることに成功した.電荷変調スペクトルでは,負のゲート電圧印加によってチャネル内に正孔が蓄積することから,基本的に分子のイオン化による吸収スペクトルのブリーチング(吸収減衰)による吸収変化が観測される.しかしながら測定により得られた吸収減衰の強度は,電荷キャリヤ数から期待される強度の5~10倍程度にも達した.詳細な解析により,このような吸収減衰増強の原因が,空間的に広がった局在電子状態(トラップ準位)へのキャリヤの蓄積によりキャリヤ当たり5~10個に及ぶ近接分子の振動・電子エネルギーが再構成されたため生じたことが明らかになった.特にこれらの結果は,高品質のペンタセン薄膜トランジスタにおいて,電荷輸送が浅いトラップ準位を媒介としたトラップ-リリースモデルの1験的な証拠を与えるものである.
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Research Products
(6 results)