2007 Fiscal Year Annual Research Report
高周期典型元素環状6π電子系分子の合成及び化学的物性の解明
Project/Area Number |
07J00066
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
安田 浩之 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 有機化学 / 多元素環状分子 / ケイ素 / ビシクロブタン / シクロトリシレン / 中間体 / シクロペンタジエン / シクロペンタジエニド |
Research Abstract |
多元素環状分子は多元素から分子が構成されるため多様な分子設計が可能であり、同一元素からなる分子では考えられない物性を示すことが期待され、分子を創造するという観点から非常に重要かつ魅力的なターゲットである。本研究では高周期14族元素5員環を鍵反応剤として新しい多元素環状アニオン種を合成する。その構造、性質を解明し、高周期典型元素環状化合物の系統的な理解を目指したものである。本年度は、前駆体であるトリシラシクロペンタジエンの合成と、五員環状アニオン種の合成を行った。 内部アルキンである3-ヘキシン存在下1,2,3-トリシラビシクロ[1.1.0]ブタンを加熱する事で、骨格に3つのケイ素原子を有する5員環化合物1,2,3-トリシラシクロペンタ-1,4-ジエンを合成した。この反応では中間体として発生したシクロトリシレンに対して、3-ヘキシンが[2+2]環化付加し、続いて置換基の転位、骨格の異性化が起きていることを明らかにした。また構造解析についても行い、五員環骨格がほぼ平面である事を明らかにした。 さらに、トリシラシクロペンタジエンに対して還元反応及び金属交換反応を行う事で、ケイ素原子を3つ有する五員環状アニオン種、リチウム1,2,3-トリシラシクロペンタジエニドを合成した。X線結晶構造解析の結果、五員環がリチウムに対してη^5で配位した構造である事を明らかにした。また理論計算により骨格にケイ素原子を含んでいても芳香族性を有する「6π電子系芳香族化合物」であることを明らかにした。これらの結果は高周期14族元素の芳香族性の概念に新たな知見を与えた。
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Research Products
(1 results)