2007 Fiscal Year Annual Research Report
希薄磁性半導体量子細線におけるスピン交換相互作用を利用した光機能制御の研究
Project/Area Number |
07J00104
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
原田 幸弘 Kobe University, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 希薄磁性半導体 / 量子細線 / 磁気光学効果 |
Research Abstract |
CdTe/Cd_0.75Mn_0.25Te分数層超格子試料構造の形状とMn組成分布を反映した希薄磁性半導体量子細線の理論解析モデルを構築し、多バンド有効質量近似を用いた数値解析により価電子帯バンドミキシング効果と光学特性の磁場依存性を検証した。Cd原子とMn原子の相互拡散に起因するMn組成の成長面内での空間分布を考慮することで、Voigt配置における異方的なZeemanシフトと磁気フォトルミネッセンス直線偏光度の磁場依存性の実験結果を定量的に再現できることが明らかになった。この結果は、CdTe/Cd_0.75Mn_0.25Te量子細線における異方的な磁気光学効果が、重い正孔成分と軽い正孔成分の混成(価電子帯バンドミキシング)に起因する正孔スピンの磁場方向への再配列によって特徴づけられいることを示唆している。正孔スピンの磁場方向への再配列は面内磁場に対するg因子が有限の値を持つ軽い正孔成分に起因するので、上記の異方的な磁気光学効果は、2方向からの量子閉じ込め効果によって価電子帯バンドミキシングが顕著に発現する量子細線構造に特徴的な現象であることが明らかになった。また、近接場光学顕微鏡を用いた分光測定を行い、単一のCdTe/Cd_0.75Mn_0.25Te量子細線からのフォトルミネッセンスが7meV程度の半値幅を示すことを明らかにした。この発光線幅の広がりは励起子磁気ポーラロン内のMnスピンの磁化の揺らぎに起因すると考えられる。揺動散逸定理を適用した数値解析により、正孔スピンの磁場方向への再配列がMnスピンの磁化の揺らぎと発光線幅の磁場依存性に与える影響を明らかにした。以上の結果より、希薄磁性半導体量子細線における静的な光学特性の磁場依存性について定量的な知見を得ることができた。
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Research Products
(10 results)