2009 Fiscal Year Annual Research Report
空気振動現象の観測と数値計算による火山爆発過程の定量的解明
Project/Area Number |
07J00126
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
横尾 亮彦 Kyoto University, 防災研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 火山噴火 / 空気振動 / 桜島火山 / 昭和火口 / 諏訪之瀬島火山 / 火口底変形 |
Research Abstract |
桜島昭和火口の噴火活動が昨年度に引き続いて活発であったことから、本年度も同火口の多項目噴火観測を継続して行った。併せて、これまでに取得していた諏訪之瀬島の噴火観測データの再検討も行い、空気振動現象の解析から制約される火山爆発過程について定量的に明らかにし、研究目的の達成を図った。 前者の観測では、大振幅で急速な圧力上昇で特徴付けられる主要相と呼ばれる空気振動波形が観察された。また、これに前駆して微弱で緩慢な圧力上昇のある先行相も認められた。この先行相には継続時間や波形にいくつかのバリエーションがあることが確認できたものの、昭和火口の噴火活動は山頂火口のものに比べて規模が小さく、昨年度、申請者らが山頂火口の事例で明らかにしたような噴火過程についてを、定量的に理解するまでにはいたらなかった。他方、噴火規模が昭和火口のものと同じ程度である諏訪之瀬島の噴火記録を用いた再解析も併せて実施した。その結果、桜島の噴火記録と同様に、空振波形には先行相が明瞭に確認された。このような特徴的な位相の発振時刻について、噴火映像解析によって明らかにした火口上空大気中を伝播する水蒸気の相変化発現時刻や、地震発振時刻との詳細な比較検討を行った。また、空振波形の数値解析を併せて実施することで、諏訪之瀬島における噴火過程として、火口底下500mにおいて発生する膨張現象によって、火口底で30~40m^3程度の地盤隆起が誘引されることが明らかとなった。火口底は0.7秒程度継続して隆起し続けることで、その変形量がやがて地盤の破壊強度を超えるため、火口底が破壊され、火道内を上昇してきた噴煙等の噴出が開始される。これらの一連の過程は、桜島山頂火口噴火においても認められているが、諏訪之瀬島の地盤変形量の10倍程度が推定されている。規模の違いは火孔サイズに起因するものと考えられる。
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Research Products
(4 results)