2007 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀スペイン文学における感覚論の受容(ホセ・デ・カダルソの作品を中心に)
Project/Area Number |
07J00128
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富田 広樹 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | スペイン / 18世紀 / 感覚論 / ホセ・デ・カダルソ / 啓蒙主義 / ジョン・ロツク / コンディヤック / 科学哲学 |
Research Abstract |
平成19年度は、資料の収集を積極的に行った。 直接の研究対象である18世紀スペインの文学テクストについては、今日歴史的な評価が高まるにつれて出版される書籍の数が増加を見せている。平成19年9月より10月にかけてスペインへ渡航し、多くの書肆を利用してこれらを収集した。本研究においてカダルソの作品との比較検討の手がかりとなる同時代の作家、詩人、劇作家の作品テクストならびに研究について、大いに収穫があった。これらは多くの場合国内での入手が困難なものである。また、入手不可能な資料についても、スペイン国立図書館で所在を確認するとともに閲覧することが出来た。 国内では同時代のテーマを広く扱った研究書を収集し読み進めることが出来た。研究の中心となるスペインの問題については、カダルソの同時代の政治家ホベリャーノスの残した公的記録を読み、当時のスペイン社会についての理解を深めることが出来た。また、スペイン-国に限らず、汎ヨーロッパ的な視点で問題を取り上げる歴史的、思想史的な研究の動向を知ることが出来た。具体的には18世紀フランスの啓蒙主義の中心である、百科全書派の知識人の著作と科学哲学の密接な連関について知識を得ることが出来た。 またスペイン滞在中に、18世紀研究で名高いスペイン・オビエド大学を訪ね、その貴重な所蔵資料を利用させてもらうことが出来た。同大学のエミリオ・マルティネス・マタ教授(カダルソの作品テクストの校訂者でもある)と面談する機会を持ち、本研究についての貴重な助言をうかがうことが出来た。
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