2007 Fiscal Year Annual Research Report
小型霊長類コモンマーモセットES細胞を用いた効率的血小板分化誘導法の開発
Project/Area Number |
07J00162
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 朋子 (横尾 朋子) Kyushu University, 生体防御医学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | コモンマーモセット / ES細胞 / 血小板 / 分化誘導 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
コモンマーモセット(以下CM)ES細胞由来血小板の高効率産生を目標として研究を進めた。(A)分化効率および成熟状態の促進化には成熟化因子の添加や新たな遺伝子導入等が有益だと考えられる。(B)また同時に指標とすべき細胞群の検討や得られた産物に対する機能解析が必要となる。 (A)In vitroでのCM ES-tall/scl細胞株由来CD41陽性細胞産生の効率的条件を検討した。(1)培養液の検討:CM ES-tall/scl細胞株の分化培養時、培養液に成熟化因子(ビタミンB_<12>・葉酸等の試薬やトロンボポエチン等のサイトカイン)を添加し培養液の検討を行った。分化培養14日目のCD41陽性細胞の産生をフローサイトメーター法により検討し、培養条件を決定した。(2)巨核球・血小板関連遺伝子の遺伝子導入による検討:まずCM gatal, nf-e2, runxlc遺伝子のクローニングを行い、レンチウィルスベクターの構築を行った。次に各レンチウィルスベクターをFugene法によりトランスフェクションし、ウィルスを作製した。各ウィルスを293T細胞へ感染後、mRNA発現をRT-PCR法、タンパク質発現をウェスタンブロッティング法により確認した。また各ウィルスをCMES-tall/scl細胞株に感染・遺伝子導入し、分化14日目のCD4陽性細胞の産生をフローサイトメーター法により検討した。その結果、最適培養液は決定できたが、遺伝子導入法によるCD41陽性細胞産生の顕著な増加は認められていない。 (B)電子顕微鏡を用いたCM ES由来血小板の形態・機能解析の前実験として、CM末梢血血小板を用いたコントロール実験を行った。これまでにCM末梢血血小板の基礎研究はないことから、ヒト末梢血血小板での報告をもとに各種条件設定を行った。具体的には血小板分離方法の条件検討(遠心速度・遠心時間・分離試薬)、電顕用固定の条件検討(一般・免疫電顕用)、血小板活性化試薬の条件検討(ADP,トロンビンの濃度・反応時間の検討)、ヒト抗vWF抗体を用いた免疫電顕の条件検討(抗体希釈濃度・反応時間の検討)をヒト・CM末梢血血小板を用いて行った。その結果、CM末梢血血小板の一般電顕写真の撮影、ヒト抗vWF抗体を用いた免疫電顕写真の撮影を行った。以上のように、CM末梢血血小板の電子顕微鏡を用いた研究の基礎を作ったことは大変意義深い。
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Research Products
(3 results)