2007 Fiscal Year Annual Research Report
社会の医療化:アメリカ社会における「肥満」の社会的成立に関する文化人類学的研究
Project/Area Number |
07J00171
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
碇 陽子 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 文化人類学 / アメリカ合衆国 / 医療 / 国際情報交換 / 民族誌 |
Research Abstract |
1.肥満問題に関与する諸アクターの関係(1)「栄養不良」と「貧困」の問題がどのように関連しているのかを把握するために、低所得者層の女性と子ども向けの食物配給・栄養カウンセリングを目的とした連邦政府のプログラム、WIC(Women,Infant and Children)のバークレーのオフィスにて調査を8ケ月間実施した。(2)カリフォルニア州ベイエリア地区を中心として、肥満予防への取り組みがどのように行われているのかを把握するため、公衆衛生の分野の人々(研究所・政府管轄団体・NPO団体など)へのインタビュー調査を実施している。(3)以上の調査から、エスニソク・マイノリティや低所得者層に生じる健康格差が肥満問題の克服すべき中心課題として据えられているということが明らかになった.低所得者層の住む地域には、公園などの運動ができる場所が少ない、新鮮な野菜や果物を購入できる店がない(酒屋と雑貨屋が一体になった類の店が多い)という点から、健康的な生活を促すための環境改善のプログラムが行われている。他方で、高所得者層の肥満も増加していることは事実で、これについては公衆衛生の分野ではほとんど議論の対象になっていない。肥満問題は格差の問題として、食品業界の問題としてなど、様々なかたちでblame gameが行われている。 2.今後の研究の計画 公衆衛生の二つのローカル・プログラムに参加する予定である。また、減量のためのプログラムを行っている施設の調査を予定している。予備調査として、摂食障害からの回復を目的とする自助集団Overeaters Anonymous(OA)についての情報や文献を集め、ミーティングに出席した。調査許可を打診中であるが、調査出版についての強い規制があるため、OAについての調査を行ったLester教授(ワシントン大学)の助言をもらいながら、状況を見つつ進めていっている。
|
Research Products
(1 results)