2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J00186
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
山本 睦 The Graduate University for Advanced Studies, 文化科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 文明 / 先史 / 遺跡 / 発掘 / 文化人類学 / 考古学 / ペルー / アンデス |
Research Abstract |
本研究は、初期国家の成立以前にあたるアンデス文明の形成期(B.C.2500-50)における権力の生成過程を動態的に捉え、これを理論化したモデルの構築を目的とする。この際研究対象となるのが、当該社会の社会的統合の中心であるとされる祭祀建造物である。 上記の目的を遂行するため、平成17年度に、ペルー共和国カハマルカ県ハエン郡にて実施した遺跡分布調査、および平成18年度に同郡ポマワカ地区にある祭祀遺跡、インガタンボ遺跡で行った第一次発掘調査に続き、平成19年度は同遺跡で第二次発掘調査を実施した。 発掘調査では、第一次調査で獲得したデータを検証し、計5時期にわたる建設活動を再確認した。また、同時に、出土コンテクストの確かな考古資料、特に土器、石器、貝を利用した装飾品をはじめとした人工遺物と生物依存体(獣骨、貝)などの自然遺物を獲得し、第一次調査に比べ、飛躍的にデータを充実させることに成功した。 発掘調査後は、獲得した考古資料の整理・分析作業を開始し、人工遺物については、地点・層位ごとに予備的な分析、図面作成、写真撮影をすすめ、建設活動との対応を明らかにした。特に、土器と石器に関しては、周辺地域の先行研究を下地として、タイポロジーを行い、今後の分析作業の基礎を築いた。 自然遺物に関しては、予備的な整理・分析作業を済ませた後、建設活動に対応する形でサンプルを抽出し、ペルー国立トルヒーヨ大学の生物学研究室のビクトル・バスケス教授、およびテレサ・タム教授に、種の同定と計量を依頼した。この専門的な分析は、来年度7月に終了する予定である。現在までの予備的な分析において、アンデス山脈の東斜面に位置し、海岸部より遠隔地にある同研究対象地域において、海産種の貝が多く利用されたことがわかっており、今後、分析の進展によって、当該地域と海岸部における地域間交流の実態を把握することが可能になると考えられる。
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