2008 Fiscal Year Annual Research Report
素粒子統一理論に基づくブラックホール解の性質とその解析
Project/Area Number |
07J00204
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
野澤 真人 Waseda University, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超弦理論 / ブレーンワールド / 高次元重力 / ブラックホール |
Research Abstract |
超弦理論やブレーンワールドに代表されるように、今や高次元時空の理解は重力のミクロな性質を明らかにする上で欠かせない要素となっている。その中でも、RondaIIおよびSundrumによって提唱されたブレーンワールドモデルは、負の宇宙項を持つ曲がった高次元時空中にブレーンを配置することによって、4次元のNewton重力を再現する模型である。このセットアップ自身は非常に単純かつ明確なものであり、このモデルに於けるブラックホール解の基本的かつ一般的な性質を明らかにすることは、現象論的な予言をする上でも非常に重要な研究課題である。 しかし、高次元重力の複雑さ故、未だブレーンワールドに於けるブラックホール解は発見されていない。そこで申請者は、低次元のトイモデルにおいて、ブレーンに局在したブラックホール解の性質を議論した。その結果、様々な場の摂動に対してブラックホールが安定で、あることを示し、ブレーンの影響により、量子論的輻射が増大するという結果を得た。これらは余剰次元2のブレーンにも見られる傾向であり、ブレーンの種類や次元に依らない一般的性質であることが予測される。また、ブラックホールに特有の準固有振動に着目することによって、このモデルをプローブする可能性を指摘した。ブレーンに局在したブラックホールに対して解析的な手法で示した本研究はこれまでにない先駆的な研究成果であり、将来にわたって非常に重要な理論的基礎を与えるものとなっている。
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Research Products
(4 results)