2008 Fiscal Year Annual Research Report
現代トルコにおける右派民族主義政党の思想と組織研究-国外での活動との関連で
Project/Area Number |
07J00216
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関口 陽子 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | トルコ / 政党 / 国会議員 / 民族主義 / 中道左派 / 組織 |
Research Abstract |
本年度も研究計画に基づいて研究活動を行った。当研究員の研究の目的は、現代世界において猛威をふるうナショナリズム研究の一貫としてトルコにおける民族主義者行動党(MHP)を考察することである。従来、ナショナリズム政党に関する研究は、トルコにおける研究潮流にとどまらず、世界的に見ても、その思想研究、活動を担った知識人の言説研究が中心であった。その傾向に対し、党の中央組織-地方組織関係を中心とした党組織の在り方や、党を支えた関連団体とのつながり、党青年部から党の活動を指導したエリート選抜の仕組みといった非イデオロギーの側面からナショナリズム政党を分析し、比較の俎上に載せようと努めたのが、平成20年度に発表された論文である。また、やはり平成20年度に行った、中東・イスラーム研究セミナーでの発表では、ナショナリズム政党の枠を超え、トルコにおける政治エリートの経歴の傾向と、政治変動の連関についての見通しを示した。ここでは、ナショナリズムの広がりと、1970年代トルコにおける左派活動の活発化にも言及しつつ、総選挙での得票の変化も絡めて論じた。2009年2月にはオランダのアムステルダムにある国際社会史研究所に資料収集に赴き、1960年代から70年代にかけての共和人民党(CHP)の活動報告書や党地方支部の会報、党の国会議員候補者名簿といった党の内部資料を確認した。CHPは本来国家政党であって当時のトルコ共和国においてキャスティングボードを握った政党でもあるが、トルコの主要政党において初めて中道左派宣言を行った党でもある。党における中道左派思想の在り方のみならず、幹部の変遷を中心に、党内人事の変容から1960年代半ばから70年代にかけての党を考察するにあたって、オランダにて収集した資料は有用となろう。また、研究所周辺に居住するトルコ系の移民にも接触し、そのライフスタイルや移住の経緯等を聞くことができた。これらを活用して、トルコの中道左派運動及びナショナリズム運動に関する論文執筆は次年度に行いたいと考える。
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Research Products
(2 results)