2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J00242
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
ロマン TA Osaka University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子ダイナミクス / 燃料電池 / 計算手法 / 機能材料 / 水素 / 触媒 / 表面反応 / 炭素 |
Research Abstract |
今年度は、昨年から行っている研究に関してより詳細に調査を行いました。まず、白金(Pt)表面に吸着した一酸化炭素(CO)近傍での水素原子の振る舞いに関する理論的研究を行いました。CO-HとH-CO構造の電子系基底状態での全エネルギーの比較、Pt表面上への水素の吸着及び脱離、更にはPt表面上での流動性に関する研究を行った結果、水素原子とCOの相互作用に関して明らかな反発作用が見られました。とりわけ、酸素原子と水素原子間での反発力が強く、それがCO吸着しているPt表面への水素原子の吸着を抑制していることがわかりました。この研究は、共吸着相互作用を詳細に議論した最初の理論的研究であり、燃料電池アノード触媒のCO被毒を理解する上で大変重要な研究であります。また、グラフェン上で3つの水素原子がクラスターを形成していく過程、及びその安定性に関する研究も行いました。この研究は吸着する水素原子が増加していくにつれ表面反応がどのように変化していくかを追跡する上で重要であり、結果として吸着子の飽和反応の制御に有益なものとなります。本研究結果から、3つの水素原子から形成されるクラスターは、3つの水素原子がそれぞれ離れて吸着した場合や2つの水素原子から形成されるクラスターと1つの水素原子が吸着した場合よりも安定であることがわかりました。グラフェン上への水素原子クラスターの吸着エネルギーは、水素原子間(H-H)の相互作用と一見無関係のように思えますが、グラフェン上ではその相互作用が大いに影響していることを示しました。更に、これに付随する研究として、グラファイト内部への水素原子の侵入に関して、二層グラフェンの計算モデルを用いて調査を行いました。水素原子の侵入反応経路を算出した結果、グラファイトのエッジを通じて水素原子がグラファイト内部に侵入することを見出し、この反応過程はグラファイトの工業的応用に極めて重要であることを示しました。
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