2007 Fiscal Year Annual Research Report
川西民族走廊・チベット文化圏における少数民族言語の方言調査と地域言語学的研究
Project/Area Number |
07J00250
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
鈴木 博之 National Museum of Ethnology, 民族文化研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | チベット・ビルマ諸語 / 川西民族走廊 / チベット文化圏 / 危機言語 / 方言 / 中華人民共和国 |
Research Abstract |
本年度は、中国四川省西部を中心とする川西民族走廊地区に居住するチベット族の話す諸言語から、チベット語の方言を主たる対象として5回の短期間の現地調査を行い、未記述の方言資料を収集した。そのうち1回は北京・故宮博物院も訪問し、18世紀の川西民族走廊地区の言語を記録している丁種本《西番譯語》を閲覧し、今後の研究の基礎的資料の収集も行った。本年度の調査では、新たに計13種類の未記述方言の語彙及び基礎構文の資料を得ることができ、10種類以上の方言について追加の言語資料を収集することができた。故宮博物院では、当初の予定にあった9種類の丁種本《西番譯語》のほか、《西番館譯語》についても閲覧でき、それぞれ書写することができた。 フィールド及び文献の各調査で得られた資料は、帰国後そのつど電子化を行い、すでにチベット語未記述方言の語彙についての電子化を終えた。《西番譯語》については現在電子化を行っている。未記述方言の資料については、これまでに収集し電子化を終えている言語資料との対照を容易に行える形に整理し、また作成済みのチベット語方言地図に新たな資料を追加した。これらの資料をもとに、川西民族走廊地区におけるチベット語方言の分布をより詳しく把握し、形成過程についての考察を進めた。その過程において得られた成果について、未記述方言に関する論文を4本、言語地図を用いた論文を1本、《西番譯語》関連の論文を3本発表し、チベット語方言研究と川西走廊諸語の研究にかかわる口頭発表を1件、チベット語方言研究にかかわる口頭発表頭発表を1件、それぞれ国際会議において行った。
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Research Products
(11 results)