2008 Fiscal Year Annual Research Report
川西民族走廊・チベット文化圏における少数民族言語の方言調査と地域言語学的研究
Project/Area Number |
07J00250
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
鈴木 博之 National Museum of Ethnology, 民族文化研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | チベット・ビルマ諸語 / 川西民族走廊 / チベット文化圏 / 危機言語 / 方言 / 中華人民共和国 |
Research Abstract |
本年度の研究内容は4点に分かれる。(1)現地調査による未記述言語の研究:5回の短期間の現地調査を通じて、中国四川省西部を中心とする川西民族走廊地区に居住するチベット族の話す諸言語から、新たに7種類のチベット語未記述方言(霞若石茸方言、朋布西方言、牙衣河方言、八日方言、塔城方言、大寨方言、奔子欄書松方言)に加え、四土ギャロン語未記述方言1種(太平橋方言)、ムニャ語未記述方言1種(朋布西方言)、スクウ語未記述方言1種(木茹方言)の資料を収集できたほか、未記述言語ニャロン・ムニャ語(甲拉西方言)の記述も行なった。また、これまでに記述したことのある各種言語・方言についても、さらに詳しく記述を進めた。(2)丁種本《西番譚語》の研究:18世紀の川西民族走廊地区の言語を記録している丁種本《西番譯語》の研究に関連する歴史資料を収集し、また《西番譯語》<川一>および<川七>の内容のデータベース化を通じて分析の基盤を整える作業に取り組んでいる。(3)上記(1)(2)の資料のデータベース化:新たに収集したチベット語未記述方言の語彙については、整理および電子化を終えた。また、丁種本《西番譯語》の電子化も引き続き行っている。(4)チベット語方言地図の作成と分析:既存の言語地図データベースに新たに入手した方言データを加えて充実を図り、新しい地図の作成にも着手した。以上の研究で得られた成果として、チベット語未記述方言に関する論文を7本、言語地図を用いた論文を3本、川西走廊諸語に関する論文を2本発表し、チベット語方言研究にかかわる口頭発表を7件、国際会議において行なった。加えてチベット語24方言の基礎語彙集を公開した。
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Research Products
(21 results)