2007 Fiscal Year Annual Research Report
フーリエ変換赤外分光法による光合成水分解反応の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
07J00252
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 博行 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 光合成 / 光化学系 / 酸素発生系 / FTIR / シアノバクテリア / 水分解反応 / 振動分光 |
Research Abstract |
光合成酸素発生反応は、光エネルギーを利用して水分子を酸素分子とプロトンに分解することが知られている。しかしながら、その触媒部位の構造やプロトン放出・酸素形成機構などの詳細は明らかとなっていない。そこで、本年度では、(1)酸素発生反応におけるプロトン放出過程の研究、(2)触媒部位の構造に関する研究を行った。 1:プロトン放出過程 酸素発生系から放出されるプロトンを定量的に検出する新規の方法を確立した。それは、高濃度の緩衝液にプロトンをトラップさせ、その変化量をFTIRで検出するという方法である。この方法の確立により、これまで定量が困難であった酸素発生系の放出プロトン数を見積もることが可能となった。さらに、この方法を用いて、pH5.5,6.0,7.0における酸素発生反応の各中間状態遷移における放出プロトン数を見積もった。詳細な解析と比較を行ったところ、そのプロトン放出数は、各中間状態遷移(S_l->S_2, S_2->S_3, S_3->S_0,S_0->S_1遷移)で、0:1:2:1であることが明らかとなった。 2:触媒部位の構造 炭酸水素イオンが触媒部位の構造因子ではないことを明らかにした。13C同位体置換した炭酸水素イオンを光化学系II蛋白質に再構成させ、各中間状態遷移における構造変化をFTIRにより検出した。得られた結果の詳細な解析を行ったところ、再構成前後で、触媒部位の構造に変化が見られなかった。このことから、炭酸水素イオンは酸素発生反応の触媒部位の構成要素ではないことが明らかとなった。
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