2008 Fiscal Year Annual Research Report
スカンジウム酸素タングステン陰極の原子レベル高温キャラクタリゼーションと実用化
Project/Area Number |
07J00254
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中西 洋介 Osaka University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | オージェ電子分光法 / 低速電子回折 / 仕事関数測定 / ショットキー陰極 / 相転移 / タングステン / 酸素 / スカンジウム |
Research Abstract |
本研究の目的は,Sc-O/W(100)表面に対して高温表面キャラクタリゼーションを行うことで,Sc-O/W(100)表面上で起きるSc-O複合体の拡散及び表面偏析のカイネティクスを解明し,その知見をもとにSc-O/W(100)陰極実用化への提案を行うことでる.本年度の成果は以下の3点である. 1.Sc-O/W(100)陰極の特性を大きく左右するSc-O/W(100)陰極表面の仕事関数を高温において計測するために,Sc-O/W(100)表面が形成されるW(100)ディスク試料が搭載されているホルダーの改良及び,測定条件の最適化を行った.その結果仕事関数の低い表面において,多量に放出される熱電子の影響を受ない仕事関数測定に成功した.高温仕事関数測定により,Sc-O/W(100)表面ではW(100)表面上でScO電気双極子が形成することで仕事関数が低下していることを明らかとした. 2.前年度に試作したマイクロチャネルプレート(MCP)を搭載したMCP-LEED装置を用いることで,1900Kと非常に高い温度においてもLEEDスポットを観察することに成功し,高温LEED観察が行えることを確認した.MCP-LEED装置を用いて,高温におけるSc-O/W(100)表面の相転移中のLEEDパターンを観察し,前年度に明らかにした反応過程と同期して表面構造が変わり,その結果仕事関数が変化していること明らかとした. 3.オージェ電子分光法,低速電子回折,仕事関数測定を用いた高温表面キャラクタリゼーションから得られた知見をもとに,Sc-O/W(100)表面で起きる表面現象を解明した.さらに得られた知見からSc-O/W(100)陰極実用化のためには,陰極動作温度と動作環境(真空度)が重要であり,1700Kでの前処理加熱後,超高真空中1500Kでの動作が最適な動作条件であることを明らかとした.
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Research Products
(5 results)