2007 Fiscal Year Annual Research Report
Clonal(クローナル)植物の繁殖特性と個体群維持機構の解明
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07J00256
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
荒木 希和子 Hokkaido University, 大学院・環境科学院, 特別研究員(DC 2)
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Keywords | 空間構造 / クローナル植物 / クローン成長 / 個体群動態 / ジェネット / 生活史 / 繁殖特性 / ラメット |
Research Abstract |
種子繁殖とともにクローン成長を行うクローナル植物Convallaria keiskeiがその二つの繁殖様式を持つことによりどのように集団を維持しているかを明らかにすることを目的として研究を行っている。本年度の研究では、2003年より継続している遺伝子型を識別したラメットの追跡モニタリング調査を行い、ラメット・ジェネットの個体群構造ならびにその動態を明らかにすることを試みた。 調査プロット(2m×28m)内には4つの優占するジェネットが認められた。これらのジェネットは5m以上にわたって広がっており、ラメットはいずれのジェネットでも中心で最も密度が高くパッチ状に分布していた。また、単一のジェネットが占有している場所と、複数のジェネットが混在している場所が見られたが、ラメットサイズは同所的なラメットで類似し、場所によって異なっていた。そしてラメットの成長は、そのサイズや開花の有無に影響を受けていた。さらに、同一ジェネットのラメットでも分布する場所により、また同所的に存在しているラメットでもジェネット間で、ラメット成長,開花,新規加入率などが異なっていることが明らかとなった。このような、ジェネット内及びジェネット間のラメットの動態の違いは、ジェネット間の遺伝的変異とラメットの柔軟な応答によって、個々のラメットがその生育地の微小な環境変化に適応していることを示していると考えられる。また、クローン成長による新ラメットの更新は、ジェネットの分布の末端部と比較して中心部でより盛んであり、クローン成長は分布を拡大よりむしろ占有した場所への定着に寄与していることが示唆された。
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Research Products
(12 results)