2007 Fiscal Year Annual Research Report
活動依存的神経回路形成におけるCaMキナーゼIファミリーの機能解析
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07J00274
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上田 奈津実 (石原 奈津実) The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 神経細胞 / シグナル伝達 / カルシウム / 軸索 / 樹状突起 / CaMK |
Research Abstract |
記憶・学習など脳高次機能の基盤には、特異的な出入力を処理する神経回路網が存在する。神経回路形成において、神経細胞は異なる性質を持つ2種類の突起(軸索と樹状突起)を適切に発達させる必要がある。 神経活動に伴う細胞内Ca^<2+>上昇により活性化される分子標的候補として、多機能性カルシウム/カルモデュリン(Ca^<2+>/CaM)依存性タンパク質リン酸化酵素(CaMK)(例えばCaMKI,CaMKII,CaMKIV)が知られている。また、その阻害剤KN-62やKN-93が樹上突起成熟過程を阻害するとの報告もあり、CaMKが神経回路形成に関与する候補分子であることが考えられる。然るに、CaMKIIやCaMKIVのKOマウスでは、神経投射、細胞移動や樹状突起形成の異常は報告されていない。 そこで申請者は、医科学修士課程から一貫してこの課題の解明を目標とし、神経活動やリガンド刺激に伴う細胞内Ca^<2+>濃度上昇の下流で複数のCaMKが神経回路形成に貢献していると仮説を立て、その検証に取り組んでいる。 本年度の研究により、大脳皮質での初期の軸索ならびに樹状突起発達にCaMKIアイソフォームが重要な役割を担っていることを初めて明らかにした。CaMKIγ/CL3は、脂質修飾依存的にSTEF-Racl経路を介し樹状突起形成を特異的に制御することを見出した成果は、Neuron誌に筆頭共著者として報告した。
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