2007 Fiscal Year Annual Research Report
中国新石器時代後期の文化間交流-河南省及び山西省西南部の土器動態を中心に-
Project/Area Number |
07J00286
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
久保田 慎二 Waseda University, 文学学術院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 陶寺文化 / 新石器時代後期 / 廟底溝二期文化 / 地域間関係 |
Research Abstract |
本年度は、特に山西省西南部の臨扮盆地に見られる陶寺文化の編年と、その周辺文化との関係性について研究を進めた。併せて、研究対象時期の前段階における山西省西南部と陝西省東部の文化間関係についても研究を進め、当該地域における時間軸に沿った地域間関係の変容を描出することができた。 具体的に述べると、山西省西南部の新石器時代後期は、土器の様式構造より3期に区分できる。それぞれ第1期は?、釜?、鼎、第2・3期は鬲及び口縁部が内湾する?を主な煮沸器とする。既存の研究史ではこれらを陶寺文化という一つの枠組みで捉えることが主流であった。しかし、本研究では土器の様式構造よりこれらを第1期と第2・3期の2つの文化に区切り、後者を特に陶寺文化とする見解を提出することができた。また、その成立についても、在地の廟底溝二期文化を基礎として、そこに北方の鬲文化が流入・融合したことが主な要因であったことを指摘した。そして、多くの研究者に指摘される北方からの人の移住については、セット関係を持たない鬲という煮沸器のみの出現という点を根拠として否定し、在地の人々に伝播という形で受容されたとした。 また、山西省西南部の新石器時代を通時的に理解する上で一定の論争を巻き起こしている、陝西省東部との早期における文化系統の理解についても一定の見解を示した。つまり、山西省西南部の廟底溝文化は陝西省東部の半披文化を継承する形で成立したとされてきたが、土器形態から両文化は異なる起源をもち、一定期間並行したと考えた。 以上より、2007年度は年次計画1年目に沿って、山西省西南部における地域間関関係を明らかにすることができた。また、研究対象時期の前段階における地域間関係まで研究を深化し、山西省西南部の通時的な文化系統の変化が理解できたのは、予想以上の成果である。
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Research Products
(3 results)