2008 Fiscal Year Annual Research Report
中国新石器時代後期の文化間交流-河南省及び山西省西南部の土器動態を中心に
Project/Area Number |
07J00286
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
久保田 慎二 Waseda University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 山西省西南部 / 陶寺文化 / 晋中地区 / 三足土器 / 陶鈴 / 銅鈴 |
Research Abstract |
本年度は、昨年からの研究課題を引き継ぎ、山西省西南部の陶寺文化の成立に大きな影響を与えた晋中地区との時間的併行関係および影響関係を明らかにし、北方地区の中原に対する具体的影響を見ることを目的に研究活動を行った。 具体的な研究内容については、土器を主な資料として用い、その属性の組み合わせの変化から器種ごとの変遷を明らかにしたうえで、相互の一括出土の組み合わせから山西省西南部の時間軸を明確にした。さらに土器型式の比較から晋中地区との併行関係を整理し、時期ごとの影響関係を見た。その結果、陶寺文化の成立に際し、晋中地区を含めた北方地区に多く見られる煮沸器としての三足土器の広がりが大きな影響をもつことが分かった。ただ陶寺文化における北方系土器の位置づけを見ると煮沸器のみが受容されたことが分かり、貯蔵や供膳の機能を持つ土器群が見られないことから、北方の影響の背景に人の移住などは無いことが分かる。 また、土器とは異なる文化レベルから交流関係を考えるため、陶寺文化で礼器として成立した初期銅器である鈴の起源を明らかにするため、新石器時代の陶鈴についての研究を行った。その結果、陶寺文化が北方の影響で社会構成を変えながら成立する中で、北方系の陶鈴が次第に礼器化され、その延長線上に銅鈴が製作されたと考えた。つまり、土器とともに鈴についでも内蒙古中南部に起源する北方の文化要素の影響を受けていることが分かった。
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Research Products
(2 results)