2009 Fiscal Year Annual Research Report
超高速レーザー開発ならびに、それを用いた光の高次高調波発生とアト秒分光への応用
Project/Area Number |
07J00294
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 順久 The University of Tokyo, 物性研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | CEP / アト秒分光 / OPCPA |
Research Abstract |
昨年度までの研究により開発した、CEP制御TW級OPCPAシステム(7fs、2mJ、1kHz)の出力光を希ガス(Ar)セルに集光することで、出力スペクトルの更なる広帯域化を実現した。スペクトル拡がりが主に短波長側で起きていることから、イオン化に伴う自由電子の生成による自己位相変調効果が主に寄与していると推測できる。また、希ガスセルのスループットが、希ガスのありなしで変化しなかったことから、自己収束効果やプラズマ生成によるビームの発散効果は小さく、スペクトル拡がりのみが実現されていることが分かった。このスペクトルブロードニング法は、従来のホローコアファイバーを用いた方法と比較して、エネルギースケーラビリティがある点、そして希薄な希ガスを用いているのでその後の再圧縮が容易な点等、これまでにない特性を備えている。第二高調波自己参照法(SHG-FROG)によりパルスを評価し、チャープ鏡、ウェッジガラス対を用いてパルスの最適化を行うことで、3.8fsのパルス幅を得た。 開発したOPCPAを用いたレーザーシステム(CEP安定化、1kHz、2.7mJ、5.5fs、750nm)を用いて水の窓領域の高次高調波発生の実験ならびに世界最短波長での高調波のCEP依存性の観測を行った。X線分光器並びに各種フィルターにより、水の窓の入り口である280eVにおいて、高調波が発生していることを確認した。高調波は少なくとも300eV程度までスペクトル成分が存在することが分かった。ただしCEPの効果はこのスペクトル領域では観測することは難しく、高調波強度の強い軟X線領域(180eV,7nm近傍)でのCEP観測を行った。この領域であっても、現在CEP依存性が検証されている極端紫外域(13nm近傍)よりはるかに高エネルギー側であり、高調波のCEP依存性が確認することが出来る世界最短波長となる。高調波はCEP依存を示しており、CEPを保存、並びにコントロールしながら、高調波発生の実験を行うことが出来ることを確かめた。これと、改良した4fsレーザーにより、この波長域での孤立アト秒パルス発生が可能となる。
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Research Products
(8 results)