2007 Fiscal Year Annual Research Report
NSAIDsの胃粘膜障害機構の解明と、胃に安全なNSAIDsの開発法の確立
Project/Area Number |
07J00327
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
田中 健一郎 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | NSAIDs / 胃潰瘍 / COX / 胃粘膜 / アポトーシス |
Research Abstract |
臨床現場で大きな問題となっているNSAIDsの胃潰瘍副作用(NSAIDs潰瘍)に関しては、PGE_2が胃粘膜保護作用(粘液産生促進、血流増加作用など)を持つことから、COX阻害によるPG低下作用のみにより説明できると考えられていた。しかし我々は、NSAIDsが胃潰瘍を導くためにはCOXを阻害し胃粘膜でPGを低下させるだけでは不十分で、NSAIDsがアポトーシスを誘導し直接胃粘膜細胞を傷害する必要があることを世界で初めて証明した(Tomisato, et. al. Biochem Pharmacol 2004; Tanaka, et. al. J Biol Chem 2005)。またこのアポトーシス誘導作用は、NSAIDsの抗炎症作用(COX阻害作用)とは無関係であることを示した。そこで我々は、アポトーシス誘導作用のないNSAIDsは、胃潰瘍副作用の少ないより安全なNSAIDsになると考え、最近そのような性質を持つNSAIDsの合成に成功した。このNSAIDsは充分な抗炎症作用を示すにも関わらず、胃潰瘍副作用をほとんど示さなかった。 NSAIDsがタイトジャンクションを構成するクロージン4誘導することが、NSAIDsの抗癌作用(足場非依存的増殖抑制、運動性抑制、浸潤性抑制)に関与していることを発見した。NSAIDsがタイトジャンクション関連因子に作用することを示した初めての研究である。
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