2009 Fiscal Year Annual Research Report
原子論的手法に基づくナノ構造・分子デバイスの量子輸送シミュレーション
Project/Area Number |
07J00363
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三成 英樹 Osaka University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 非平衡グリーン関数法 / 強結合近似法 / デバイスシミュレータ / MOSFET / シリコンナノワイヤ |
Research Abstract |
前年度までの研究で開発した3次元のフルバンド量子輸送シミュレータの機能の拡張を行い,スピン軌道相互作用の取り扱いや,輸送方向の結晶方位が[110]方向であるデバイス,任意の断面形状をもつナノワイヤの取り扱いを可能とし,微細な半導体デバイスの解析には必要不可欠な,フルバンド構造や歪効果,結晶方位依存性,スピン軌道相互作用を考慮した量子輸送シミュレーションを可能とした.開発したシミュレータを用いて,次世代の半導体デバイスとして期待されている,チャネル材料がシリコンまたはゲルマニウムであるp型のゲートオールアラウンド型ナノワイヤトランジスタについてデバイス特性の解析を行った.その結果,チャネル材料がシリコンのナノワイヤよりも,ゲルマニウムのナノワイヤの方が大きな電流が得られることが分かった.また,輸送方向の結晶方位が[100]方向のナノワイヤよりも[110]方向のナノワイヤの方が大きな電流が得られることが分かった.直径が数ナノメートルのナノワイヤトランジスタでは,単位面積あたりの電流密度がナノワイヤの直径に依存することが分かった.ナノワイヤの断面の形状が電流密度に与える影響について,開発したシミュレータを用いて解析を行い,断面の形状が正方形のナノワイヤよりも,円形のナノワイヤの方が大きな電流密度が得られることが分かった.また,シリコンに代わる新たなチャネル材料として期待されているアンチモン化インジウムをチャネルに用いたダブルゲート型トランジスタについて,2次元のフルバンド量子輸送シミュレータによる性能予測を行い,同じ寸法のシリコンデバイスと比較して,より大きなソース-ドレイン間のトンネル電流が流れることが分かった.
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Research Products
(5 results)