2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J00376
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
一丸 知子 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 成層圏突然昇温 / アンサンブル予報 / 予測可能性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、成層圏突然昇温という顕著な現象を対象に成層圏循環の予測可能性を明らかにすることである。今年度は、気象庁一ヶ月アンサンブル予報データを用いて、2001年から2006年の北半球冬季に生じた全ての成層圏突然昇温現象を詳細に解析し、その統計的な予測可能期間を明らかにすることを目指した。 先行研究によると、突然昇温の生じ方により予測可能期間が異なり、昇温ピークを2週間以上前から予測できる事例があることが報告されているため、まず解析事例を増やし同様の手法で比較を行った。5冬季間に生起した12事例について、10hPa,北緯80度の帯状平均温度を解析したところ、ほとんどの事例が2週間前では温度ピークを予報できていなかった。また、冬季に初めて生じる突然昇温は、予測可能期間が相対的に長い傾向にあった。 次に、局所的な領域の温度予報で見られたこの傾向が、より広範囲の領域でも見られるかどうかを確認した。昇温現象は極域に限られるため、プラネタリー波の活動度が活発な突然昇温前後に、広範囲で変動が大きくなる高度場(成層圏循環)の予報に注目し、その北半球全領域における自乗平均根予報誤差(RMSE)とパターン相関(AC)を解析した。RMSEで見れば、突然昇温前後の成層圏循環の変動を、平均して約10日先から予報できるが、5日より短いものや2週間以上前から予報できたものもあり、事例により予測可能期間が大きくばらつくという結果を得た。温度予報の場合と同様、予測可能期間は突然昇温の時間発展の仕方に依存する傾向があり、非常に寒冷な初冬に波数1成分のみが卓越して生起する事例は相対的に長く、波数2,3成分も卓越するような事例ではそれより短い傾向にあった。ACでもほぼ同様の結果が得られたことから、突然昇温前後の成層圏循環の予測可能期間は、生起時期と個々の東西波数成分の予報精度に依存することが示唆される。
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Research Products
(8 results)