2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J00376
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
一丸 知子 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 成層圏突然昇温 / アンサンブル予報 / 予測可能性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、成層圏突然昇温という顕著な現象を対象に成層圏循環の予測可能性を明らかにすることである。今年度は、2001年から2006年の北半球冬季間の126回の気象庁一ヶ月アンサンブル予報データを用いて、10hPa等圧面高度場(成層圏循環)の予報に注目し、その北半球全領域における自乗平均根予報誤差(RMSE)とパターン相関(AC)を解析することにより、成層圏循環の予報限界を見積もった。 観測値とアンサンブル平均値の偏差から求めたRMSEが、以下で述べるような基準値からの観測値の偏差の自乗平均平方根により定義した閾値を超えるときを、RMSEでの予報限界と定義した。一方、観測値とアンサンブル平均値について、基準値からの偏差を求め、2つの偏差の相関係数として定義したACが、0.6を下回るときをACでの予報限界とした。基準値については、大規模スケールの現象が卓越する成層圏冬季の特徴を最適に表現できるよう、90日以上の変動を抽出するlowpass filterをかけた高度場として定義した。その結果、波の振幅が大きい時期については、RMSEとACの結果がほぼ一致し、平均予報限界は10日程度であった。しかし、予報しやすい時期とそうでない時期があり、それは事例によって大きく異なっていた。成層圏突然昇温の時期も例外ではなく、2週間以上の予報限界をもつ事例もあれば、1週間未満の予報限界をもつ事例もあり、事例により予測可能期間が大きくばらつくことがわかった。一方、波の振幅が小さい時期(2004年1月以降と2006年1月後半以降)にはRMSEとACの結果は一致せず、RMSEの予報限界は長いが、ACの予報限界は波の振幅が大きい時期と同程度であった。 以上の成果は、国内学会、および国際学会で発表し、学術雑誌への投稿論文としてまとめた。
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Research Products
(4 results)