2008 Fiscal Year Annual Research Report
清代中期の制銭供給政策からみた清朝支配の構造的特質と中国社会との相互影響の研究
Project/Area Number |
07J00378
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
上田 裕之 Hitotsubashi University, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 制銭 / 銅銭 / 中国貨幣史 / 銭貴 / 档案 / 清代史 / 題本 / 奏摺 |
Research Abstract |
平成20年度は,6月9〜11日,12月1〜3日に筑波大学中央図書館において,「宮中档朱批奏摺財政類」「内閣漢文題本戸科貨幣類」『宮中档雍正朝奏摺』『宮中档乾隆朝奏摺』などの档案史料の調査を行い,9月14〜20日には中国第一歴史档案館において「内閣漢文題本(北大移交部分)」「軍機処漢文録副奏摺」などの档案史料の調査を実施した。それらの成果などをもとに,『史境』第57号に論文「清代雍正年間の各省における貨幣政策と江南の銭貴」を発表した。ここにおいて分析を加えた銭貴は,本研究の主題である清代中期の貨幣史をとらえる上で起点となる現象であり,当該論文は,従来の研究がほとんど閑却してきた銅銭の供給サイドの問題が貨幣史上にもつ重要性を明示したものである。これによって,乾隆年間における制銭供給量の地域差と銅銭流通の混乱を政治史的観点から分析することが可能になり,平成20年度の後半は当該時期の財政状況に関する新たな史料調査と分析を重点的に進めた。また平成20年度には,既発表論文「清,康煕末年から乾隆初年の京師における制銭供給と八旗兵餉」が中国国家清史編纂委員会『清史訳叢』第10輯に翻訳・掲載されることが決定し,その漢語訳作業に従事した。この他に,中国経済学会第7回全国大会,満族史研究会第23回大会,中国社会文化学会2008年度大会,第45回日本アルタイ学会,明清史夏合宿2008,社会経済史学会第77回全国大会,歴史人類学会第29回大会,東洋文庫内国皮院档研究会(隔週開催)等の学会・各種研究会に参加し,清朝史・経済史研究に関する情報収集と意見交換に努めた。
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Research Products
(2 results)