2007 Fiscal Year Annual Research Report
キイロショウジョウバエ脳を用いた感覚統合を担う神経回路の探索
Project/Area Number |
07J00383
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
四宮 和範 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ショウジョウバエ / 脳 / データベース / 神経科学 |
Research Abstract |
19年度は当初の計画では感覚統合に関わる未知の神経経路のスクリーニングを行う予定であったが、このためにはまずこれまでに論文等で報告されている感覚系神経経路を網羅的にリストアップし、神経細胞の形態や投射先について整理する必要があった。このため、論文を収集して各感覚系の神経経路に関する情報を抜き出し、市販のデータベースソフトウェアを用いて網羅的な神経細胞データベースを構築した。現在までに、データベースには約400種の神経経路の情報を入力した。これは論文等で既に発表されている神経種の大半をカバーするものであると考えられる。また、これらの神経経路を標識する抗体やエンハンサートラップ系統として、約80レコードを入力した。このデータベースはデータ整理やインタフェースの整備等を進めたのち、20年度中の早い時期にオンライン公開と論文執筆を行う予定である。 このデータベースは非常に多くの神経経路を収録するため、収録した各神経細胞の投射先やシナプスの位置を解析することで、脳内各領域問の結びつきの強弱を明らかにできる可能性が考えられた。そこで、モデル実験として、このデータベースに入力した約180種の視覚系経路の情報を用い、視葉における各構造体の層間の結びつきの強さの評価を行った。この結果、特定の層間において顕著に結びつきが強い場合があることを発見した。 神経細胞の投射先を整理することに関連して、様々な抗体や分子マーカーを用いて脳を染色し、これまでに提案された脳領域の境界・名称を見直し、より妥当なものに置き換える試みを現在行っている。この成果は20年5月に行われる研究集会において発表し、ショウジョウバエを含む昆虫の研究者と討論を行ったのち、最終的に昆虫一般の脳領域の標準名称としてまとめる予定である。
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Research Products
(3 results)