2008 Fiscal Year Annual Research Report
APJ受容体の脂肪細胞特異的作用とエネルギー代謝ネットワークの解明
Project/Area Number |
07J00400
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坂入 旭 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | APJ受容体 / 脂肪細胞 / エネルギー代謝 / 熱産生 / 糖代謝 / 脂質代謝 / トランスジェニックマウス / 内分泌 |
Research Abstract |
最近、脂肪組織は余剰なエネルギーを貯蔵する機能のほか、種々の生理活性物質を分泌する内分泌器官として全身の代謝制御に積極的に関与することが見出されつつある。当研究室によってクローニングされたAPJ受容体は、脂肪組織に高発現することから、脂肪組織にはAPJ受容体を介するエネルギー代謝制御系が存在する可能性が考えられるが、未だ不明である。そこで私は、APJ受容体の脂肪組織におけるエネルギー代謝制御機構の解明を本研究の目的とし、特に生理機能と分子メカニズムに焦点を絞り以下の解析を行うこととした。 1.脂肪組織におけるAPJ受容体の生理機能解明 APJ受容体の生理機能を解析するにあたり、直接個体レベルでの検証が必要であると考え、研究対象として当研究室にて作製された脂肪組織特異的APJ受容体過剰発現マウス(Tgマウス)を用いることとした。また、対照群として同腹の野生型マウス(WTマウス)を用い、外来性APJ受容体発現の影響を検討した。その結果、WTマウスと比べ、Tgマウスは体重に差はないものの、脂肪重量が有意に減少していた。また、エネルギー代謝の指標となる体温を測定したところ、Tgマウスは有意に高いことを見出した。以上より、脂肪組織におけるAPJ受容体はエネルギー代謝制御系として機能することが分かった。 2.脂肪組織におけるAPJ受容体の分子メカニズムの同定 個体レベルで認められた表現型の分子メカニズムを探るため、脂肪組織から抽出したRNAを用いたマイクロアレイ解析を行った。その結果、WTマウスと比べ、Tgマウスでは、生体内におけるエネルギー源としてのトリグリセリドの合成酵素の発現が低下し、一方、その分解酵素の発現が増加していた。興味深いことに、熱産生に関わる遺伝子の発現も上昇していた。これらのことから、脂肪組織におけるAPJ受容体は、脂肪分解を伴うエネルギー消費亢進や熱産生に関与することが示唆された。
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Research Products
(1 results)