2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J00457
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
安部 智子 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Pseudomonas / クラスター / アシルCoA合成酵素 / 脂肪酸 / CoA / チオール化合物 / アミド化合物 |
Research Abstract |
ニトリル分解菌Pseudomonas chlororaphis B23は、かつてアクリルアミドの工業生産に利用され、現在も(農薬の中間体)シアノバレルアミドの工業生産に利用されている実用菌である。近年、我々は本菌のニトリルヒドラターゼ遺伝子クラスターの下流にアシルCoA合成酵素の構造遺伝子を発見し、AcsAと命名した。 従来、アシルCoA合成酵素の基質特異性について、脂肪酸に対しては詳細に調べられてきたが、CoAに代わるチオール基質については研究がほとんど行われていなかった。そこで、AcsAの性質を調べる過程でCoA関連化合物やチオール化合物を基質として用いて反応が進むかどうかを調べた。AcsAはイソ酪酸を最も良好な脂肪酸基質としてアシルCoAを合成するため、基質としてはイソ酪酸とATPの他にCoA関連化合物やチオール化合物を加え、精製AcsAを用いて酵素反応を行った。その結果、CoAの代わりにシステインを用いた時に、新たな酵素反応産物の生成を発見した。有機酸カラムを用いたHPLC法で反応液を分離した結果、新たなピークが検出され、そのピークは時間と酵素量に比例して増加した。新規反応産物を精製し、NMRおよびLC-MS/MS等の構造解析により構造を調べた結果、反応産物はチオール化合物ではなくアミド化合物であった。さらに、本新規反応における産物および基質の量的変化をそれぞれHPLC法を用いて測定した結果、産物であるアミド化合物およびAMPの増加量と、基質であるイソ酪酸およびATPの減少量との間に1:1:1:1のストイキオメトリーが成り立っていることを確認し、アシルCoA合成酵素がアミド結合(ペプチド結合)を持つ産物を生成する新規機能を有することを明らかにした。
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Research Products
(2 results)