2008 Fiscal Year Annual Research Report
超高速分光法を用いた水和クラスターイオンの配向緩和と化学反応ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
07J00475
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山田 勇治 Kobe University, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | マグネシウム水和クラスター / 赤外スペクトル / イオン対状態 / 水素脱離反応 / MgOH |
Research Abstract |
本研究は、超高速分光法を用いた水和クラスターイオンの配向緩和と化学反応ダイナミクスの理解を目標に、今年度は特に、マグネシウム原子に水が溶媒和しか、マグネシウム水和クラスターの構造及び、反応性について研究を進めた。中性マグネシウム水和クラスターを生成し、これらの赤外スペクトルを測定することによって、水和構造を調べ、また、水和だけでは説明できない構造の示唆から水分子と金属との反応の可能性について議論した。マグネシウム水和クラスター生成部の改造を行い、レーザーアブレーションで生成した金属蒸気をジェットに取り込むことで、安定かつ十分な量の中性マグネシウム金属クラスターを生成した。また、生成されたクラスターのイオン化光入射の前に赤外光を入射し、その吸収後に起こる解離による各サイズのクラスター量の増減を調べることで、赤外スペクトルを観測した。その結果、赤外スペクトルは、中心金属から溶媒分子側に電子が移動したイオン対状態を形成していると知られているNa(H_2O)_nクラスターと同様な赤外スペクトルを示したことから、マグネシウムの場合も溶媒分子側に電子が移動しているイオン対状態を形成していることが示唆された。加えて、水素結合していない水のOH伸縮振動領域よりも高波数側にバンドが観測されたことから、マグネシウム金属の周りに水が配位して溶媒和しているのではなく、水素脱離反応(Mg+H_2O→MgOH+H)によって生成したMgOHに溶媒和していることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)