2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J00498
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒匂 宏樹 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 測度論的群論 / $II 1$型因子環 / 軌道同値関係 / von Neumann環 / 従順性 |
Research Abstract |
2008年度は前年度後半に引き続き、測度カップリングの剛性定理の証明に取り組み、小沢のクラス$S$群の直積群について証明した。測度カップリングとは幾何学的群論における位相的カップリングの類似物である。可算離散群$G$が左から、$\Gamma$が右から作用する標準的測度空間$\Sigma$でそれぞれの作用が測度有限の基本領域を持つとき、$\Sigma$を$G$と$\Gamma$の測度カップリングと呼ぶ。二つの群$G$と$\Gamma$に測度カップリングが存在する時、二つの群は測度同値であるという。測度同値という関係は可算群の間の同値関係である。その同型類は多くの場合で群の同型類よりもはるかに大きい。例えば、可算従順群は全て測度同値であり、二元生成自由群と同値である互いに同型でない群が非加算無限ある。それとは対極に、ある群については測度カップリングを通してもその代数的構造が多く保存される。その種の主張が測度同値剛性定理と呼ばれるものである。 可算離散群$G$がクラス$S$であるとは、$G$のストーンチェックコンパクト化に置ける境界が$G\times G$空間として従順であることと同値である。クラス$S$群の直積についての剛性定理を得るためにまず、測度カップリングをいわば加工し軌道同値関係の構造を導入した。さらに、Feldman--Mooreの方法により作用素環を構成した。従順性と非従順性の二律背反、作用素環のテンソル積上のノルムについての考察により、直積群についての剛性定理を得た。さらに以上の方法がリース積やアメナブル部分群上で融合させた自由積で与えられた群についても用いた。
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Research Products
(2 results)