2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J00508
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高平 信幸 Osaka University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ポーラス材 / 酸化物 / 水熱反応 |
Research Abstract |
本研究では、水熱反応を用いて酸化物のポーラス膜を作製するための基礎検討を行っている。酸化物ポーラス膜には、高温でも高い比表面積を保つことが求められる自動車排ガス用の触媒担持体などの要望がある。しかしながら、一般に酸化物は固く、また、融点も高いため、加工することが困難である。そこで、本研究では200または250℃、数MPaの水の特性を利用した水熱反応を用いる。水熱反応下の水は、酸化物を溶解し得る高いイオン積を有し、さらに通常の水よりも低い粘性を示す。この低温・低エネルギーの水熱反応を酸化物ポーラス材の作製方法に応用する。出発原料となる酸化物試料から熱水中へ成分を溶出させ、ポーラス構造を有した鉄膜などの析出させた後に、鉄を酸により除去し、酸化物ポーラス膜を得る。種々の酸化物試料の構成成分の熱水中への溶出量の測定および溶出した成分が鉄製のテンプレートに析出するか検討を行ったところ、出発原料が結晶質であると溶出量は少なく、また、テンプレートへの析出も確認されなかった。一方、出発原料が非結晶質であり、かつ、水熱反応中に結晶化しなければ、溶出量は多く、また、酸化物ポーラス膜を作製することができた。結晶および非結晶SiO_2を出発原料とした際のSiの溶出量などは既存の熱力学データから計算した値とよい一致を示し、水熱反応と言う特殊な環境下であっても既存のデータベースを用いて溶出量を予測できる可能性を示した。
|