2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J00536
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
秋田 喜美 Kobe University, 文化学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 音象徴語 / 日本語 / 擬音語・擬態語 / 類像性 / 音韻意味論 / 統語論・意味論インタフェイス |
Research Abstract |
本年度の研究は以下の三つに大別される。 1.語の形式が特定の意味を想起するという「音象徴現象」には音韻形態的なものと分節的なものの二種類が存在することおよび、それが文法研究・音象徴語(擬音・擬態語)の定義問題・通言語比較等において重大な区別となることを様々な角度から検証した。とりわけ、音象徴語範疇の規定という、これまで不可能とさえ考えられていた課題に、心理学的実験に基づぎ音韻形態的観点から一つの解決策を提出できた。ことは有意義であった。更に別の実験により、当該範疇の意味的規定の可能性も示唆することができた。 2.これまで日本語(成人および幼児)と韓国語について考察してきた音象徴語の言語化(節の主要部か非主要部か)という問題を、他の幾つかの言語に拡張考察することで、一つの通言語仮説(ある音象徴語が主動詞として機能しえないのであれば、それより類像性(形式と意味の関係の直接性)の高い語もまた主動詞として機能しえない)に到達し、学会でもこれまでにない反響を得た。 3.来年度の主たる課題とする「音象徴語述語の意味論」の基盤作りを行った。先行研究の問題点を指摘した上で代替案の方向性を示し、既存の意味論よりも詳細な意味記述の必要性が示唆された。そうした詳細をも組み込んだ意味論への取り組みにより、専ら特別視されてきた音象徴語彙の「非特異性」の指摘と同時に、そうした周辺的語彙研究からの一般理論への貢献が期待される。 また、参加した様々な国内外の学会や論文集では、以上の内容に加え、本研究の周辺課題である心理述語の考察も発表した。そうしたアウトプットの場の多様性に留まらず、本年度は本研究に隣接しうる音韻論者との共同研究にも着手し、手法・理論的アプローチにも広がりを持たせることができた。
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Research Products
(14 results)