2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J00542
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
島倉 裕樹 Chiba University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 頂点作用素代数 / 散在型有限単純群 / モンスター単純群 / ムーンシャイン / イジング元 / リーチ格子 |
Research Abstract |
散在型有限単純群の中で最も興味深いモンスター単純群を理解するために,この群が全自己同型群として作用する頂点作用素代数であるムーンシャイン頂点作用素代数を研究することは非常に有効な手段の一つである. 本年度は,ムーンシャイン頂点作用素代数の位数3の自己同型に付随する構成法を目指して研究を行った。これはFrenkelらによって提出されたいくつかの素数の位数の自己同型に付随するムーンシャイン頂点作用素代数の構成法に関する予想の一部の解決を目指すものである.とりわけ,本研究を遂行する上で重要な鍵となるコクセター・トッド格子に付随する頂点作用素代数の性質、表現論、自己同型群に関する研究を行った. また,台湾の国立成功大学のChing Hung Lam教授と共著でリーチ格子に付随する頂点作用素代数のイジング元に関する論文「Ising vectors in the vertex operator algebra $V_{\Lambda}^+$ associated with the Leech lattice $\Lambda$」を発表した.この論文において,リーチ格子に付随する頂点作用素代数のイジング元の特徴づけを行った.イジング元とは位数2の自己同型を引き起こすような元であり,自己同型群との関係を調べるために非常に重要な役割を果たす.そして,ムーンシャイン頂点作用素代数がこの頂点作用素代数を含むことを用いて,モンスター単純群のいくつかの性質を頂点作用素代数の立場から解明した.特に,モンスター単純群の共役類2Aの元とワイル群との不思議な関係を述べたグラウバーマン・ノートン観察の一部について頂点作用素代数の視点からの説明を与えた.この研究成果を応用して,この観察における残された場合や未だ残されているモンスター単純群に関するさまざまな不思議な現象の解明が大きく進展することが期待される.
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Research Products
(3 results)