2007 Fiscal Year Annual Research Report
サルモネラ菌べん毛モータータンパクMotAB複合体によるプロトン透過機構の解明
Project/Area Number |
07J00553
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
蔡 栄淑 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 生物物理 / 分子モーター / ナノマシン / ナノバイオ / 1分子計測 |
Research Abstract |
サルモネラ菌べん毛モーターはプロトン駆動力をエネルギー源として回転し、そのプロトンはMotA/MotB複合体(MotAB)を透過する。MotBの33番目のアスパラギン酸はプロトン結合部位であり、この残基へのプロトンの結合解離によりMotAの細胞内ドメインが構造変化を起こし、トルクが発生すると考えられている。申請者は、プロトン透過活性が低下しているmotB(D33E)変異体から運動能が復帰する偽復帰変異体を5つ単離した。これらの偽復帰変異体がどのようにプロトン透過やトルク発生に関係しているのかを解明するため、ビーズ解析法を用いてモーターの回転速度と発生トルクの関係を計測し、野生型と比較検討した。変異箇所5つのうち2つはプロトン透過経路を形成しているとされるドメインにあることから、プロトン透過に影響する変異であると予想していたが、予想に反して、これらの変異はプロトン透過に影響がなく、低速トルクのみが回復する変異であった。今回の実験では、プロトン透過に関わるアミノ酸を同定することはできなかったものの、これまで知られていないトルク発生に関わるアミノ酸を明らかにしたという意外な成果を得ることができ、べん毛モーター回転機構の解明に向けて大変意義があると考える。現在はこの成果をまとめ論文投稿準備中である。 一方、上記の実験と平行してMotABタンパク構造を解析するための準備も行っている。MotABタンパク発現系を構築すべくMotAB発現プラスミドを作製し発現を試みたが、タンパク精製を行うのに十分な発現量が得られなかった。MotABは膜タンパク質ということもあり、通常のプラスミドの構築法及び発現誘導法では困難が予想されるため、今後はプラスミド構築法を改良し、様々な誘導条件検討を行い、タンパク精製が行える条件を見つける予定である。
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Research Products
(5 results)