2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J00570
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山田 道夫 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 金属内包フラーレン / 化学修飾 / NMR常磁性シフト |
Research Abstract |
本研究では当該年度において、金属内包フラーレンCe_2@C_<72>およびCe_2@C_<78>の合成に成功し、その単離およびキャラクタリゼーションを行なった。大量合成については、アーク放電装置を用い、Ce含有カーボンロッドを陽極としてアーク放電を行なうことにより達成した。NMR測定および理論計算により、Ce_2@C_<72>は従来のフラーレンが従う孤立五員環則には従わない構造を有することが明らかになった。常磁性NMRシフト解析によりCe原子の位置を調べたところ、五員環が隣り合ったフユーズドペンタゴン構造に面して静止していることが明らかとなった。また、電気化学測定により、Ce_2@C_<72>は従来の金属内包フラーレンと比べて非常に大きなHOMO-LUMOギャップを有することを見い出した。同様にCe_2@C_<78>について調べたところ、孤立五員環則を満たすD_<3h>構造であり、Ce原子は3回軸上に静止していることが明らかとなった。Ce_2@C_<78>については化学反応性を調べたところ、ケイ素化合物であるジシリランと反応がスムーズに進行し、一種類のケイ素化体を合成できることが明らかになった。ケイ素化体についても常磁性NMRシフト解析を行なったところ、Ce原子の位置はケイ素化の前後でほとんど変わらないことが明らかとなった。これはこれまでに見出してきたCe_2@C_<80>の場合とは大きく異なる結果であり、金属原子の配向制御を考えていく上で非常に重要な成果である。さらにケイ素化体については単結晶の作製に成功し、X線結晶構造解析により構造を明らかにした。とくに配列構造を調べたところ、フラーレンケージおよび内部の金属原子が一次元的に配列した構造であることが明らかになった。これはフラーレンの配列制御だけでなく、金属原子の配列制御も同時に達成された例として本研究のねらいとして非常に重要な成果である。
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Research Products
(3 results)