2009 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子組換え動物を用いた哺乳類における受精の分子メカニズムの解析
Project/Area Number |
07J00579
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤原 祥高 Osaka University, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 遺伝子欠損マウス / 受精 / 精子 / 巨大円形精子症 |
Research Abstract |
本研究課題の最終年度は、2つの遺伝子欠損(KO)マウスの解析に注力した。一つ目は初年度に作製したSpesp1KOマウスである。すでに前年度までにKOマウスの表現型解析はほぼ完了しており、KO雄マウスは生殖能力が野生型に比べ低下することが分かっていた。前年度からの解析の結果、このSpesp1KO精子は雌の子宮から輸卵管へと昇る能力の低下が見られ、さらには卵細胞膜との融合能も低下しているという、複合的な原因により生殖能力の低下が引き起こされていることが明らかとなった。また、KO精子ではいくつかの精子膜タンパク質の局在異常が見られたことから、KO精子の電子顕微鏡観察を行ったところ、KO精子では卵子と融合する際に必要な部位であるエカトリアルセグメント膜が消失した精子が多く観察された。これらの解析結果をまとめると、SPESP1タンパク質はその他の精子膜タンパク質を正しい場所に存在させておくことにより、受精に必須の部位であるエカトリアルセグメント膜の安定化に機能していることが示唆された。この研究成果は、Journal of Cell Scienceに掲載予定である。 もう一つは、前年度に作製したSpacalKOマウスである。KO雄マウスは、精子頭部の形態異常により完全に不妊となった。KO精子の形態は、ヒト男性不妊症の一つである巨大円形精子症の表現型と非常に酷似していたことから、Spaca1KOマウスはヒト不妊症のモデルマウスとして有用であることが分かった。現在、精子形成におけるSPACA1タンパク質の役割を明らかにするために解析を進めている。
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Research Products
(4 results)