2007 Fiscal Year Annual Research Report
機能未知Nudixタンパク質が関わる新規な細胞増殖制御メカニズムの発見と解明
Project/Area Number |
07J00601
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大賀 拓史 Osaka University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Nudix / ppGpp / 高度好熱菌 / 機能未知タンパク質 / メタボローム解析 / 遺伝子破壊株 |
Research Abstract |
本研究ではメタボローム解析を行うことで、機能未知タンパク質の基質分子と生理機能を発見することに成功した。Nudixタンパク質ファミリーは様々な種類のヌクレオチド誘導体を加水分解する酵素群であり、ウィルスからヒトまで生物界に広く分布している。近年、多くのNudixタンパク質について基質分子が同定されている一方、その活性の生理的意義はほとんど明らかになっていない。我々はモデル生物である高度好熱菌(Thermus thermophilus HB8)が持つ8つのNudixタンパク質(Ndx1〜8)に関する機能解析を行ってきた。このうちndx8遺伝子の破壊株(ndx8^-)では、栄養制限環境下において野生株よりも早い増殖時期に細胞の凝集・伸長といった定常期様の形態学的特徴が観察された。DNAマイクロアレイを用いた発現解析の結果、ndx8^-ではリボソーマルタンパク質やTCAサイクルに関わる酵素などの発現が抑制されており、野生株と比べて細胞の増殖が阻害されていることが示唆された。このような表現型はNdx8の基質分子がndx8^-の細胞内に蓄積することで引き起こされると想定し、質量分析計を用いたメタボローム解析を行うことで、その様な基質候補代謝分子の探索を行った。その結果、ndx8^-の細胞内に細菌のシグナル分子として知られているppGppが蓄積していることを発見した。さらに、精製Ndx8標品を用いたin vitroでの活性測定の結果、Ndx8がppGppの2つのホスホジエステル結合を加水分解する活性を持つことを発見した。ppGppは細菌の栄養枯渇応答や増殖期の推移に関わることが知られている。今回得られた結果は、栄養枯渇による細胞増殖の定常期への推移が、Ndx8のppGpp分解活性によって遅らされていることを示している。
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Research Products
(1 results)