2007 Fiscal Year Annual Research Report
非線形有限要素法を用いた電気機械統合心臓システムシミュレータの開発とその応用
Project/Area Number |
07J00617
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
朝原 智子 (平林 智子) The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | マルチスケール / マルチフィジックス / 非線形有限要素法 / 三相理論 / 電気機械帰還現象 / 不整脈 / 心内圧 / Stretch-Activated Channel |
Research Abstract |
【単一細胞を対象とした微視的有限要素シミュレータの開発】微視的有限要素シミュレータを完成させた。当初の予定では細胞間の結合に関するデータまで含めたものを作成する予定であったが、単一細胞だけのモデルの完成度を高めることを優先させた。細胞は多孔質の固体を電解質溶液が充填している状態にあると考えられることから、固体の変形、流体の移動、イオン濃度、電位、圧力を未知数としてモデル化し、これら全てを連成して解いた、解析にあたっては、三相理論をもとに未知数の削減、連立方程式の分離などによって計算量の少ない新たな手法を開発した。計算量を削減することにより時間的にも空間的にも従来よりも細かい分割が可能となり、より微視的なスケールでの計算が可能となった。 手法の開発にあたって定式化をしなおす際に細胞膜の挙動もとりこんだ。具体的には細胞膜をコンデンサーとみなし、膜に電荷が蓄えられる状態を式にとりいれて、細胞内外それぞれにおけるイオンの挙動と関連付けた。これらのイオンの濃度は三相理論においてその他の未知数(固体の変形、流体の移動、電位、圧力)と連成している、また、細胞膜間のイオンの挙動に関しては生理学的に多数のモデルが開発されており、その一つを採用した。こうすることで電気力学的な現象と生理学的な現象を合理的にとりこむことができた。【組織レベルを対象とした巨視的有限要素シミュレータ】修士課程で作成した組織レベルを対象とした巨視的有限要素シミュレータを医学的に応用し、不整脈の動態に及ぼす心内圧の影響を調べた。これは、二年目の課題の一部として予定していたが、早い段階で論文として発表して他の研究者の意見を求める必要があると考えて前倒しした、【微視的有限要素シミュレータと巨視的有限要素シミュレータの比較】当初の予定通り、両者から得られる結果を比較し、それぞれの妥当性と応用範囲をまとめて博士論文とした。
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Research Products
(2 results)