2008 Fiscal Year Annual Research Report
人工衛星と地上大型レーダーによる雷放電と電離圏擾乱現象の電気的結合の解明
Project/Area Number |
07J00631
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
足立 透 Kyoto University, 生存圏研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 雷放電 / スプライト / エルブス / 電離圏 / MUレーダー / ISUAL / VLF / 大気電気 |
Research Abstract |
超高層大気放電現象(スプライト・エルブスなど)における電気力学過程を明らかにずるため、FORMOSAT-2衛星搭載観測器ISUALによって得られた多波長データを解析し、雷放電が中間圏・下部電離圏に与える電気力学的・化学的効果の見積を行った。スペクトル情報から現象を誘起した電子の平均エネルギーや電場強度を推定し、スプライトやエルブスに伴って極めて強いイオン化が発生していることを示した。さらに、これらのパラメータを数値モデルに入力し、化学過程の時空間における振舞を調査したところ、想像以上の窒素酸化物が形成されていることが明らかになった。一方で、雷放電に関しても、光学観測からその電気的特性を導出する新たな手法を確立し、超高層大気放電現象との電気的結合関係を詳細に解析した。その結果、雷放電の電荷モーメントと変化の時定数がスプライトの素過程を決定することを明らかにし、形態の多様性の成因を初めて統一的に解明した。次に、京都大学の有するMUレーダー(滋賀県甲賀市)による電離圏観測を、雷放電の活動期である冬季と夏季に実施した。理論的研究により予想されている高度90km付近における電子密度擾乱を捉えるため、複数の観測パラメータを用いて試験運用を行い、観測モードの最適化を図った。2008年8月23日の夜22-23時の時間帯には、発達した雷雲がレーダー観測点の真下を通過し、雷放電と電離圏擾乱の同時実施に世界で初めて成功した。取得されたデータの精密解析により、両者の時空間的な対応関係が極めて良いことが明らかになった。
|
Research Products
(10 results)