2009 Fiscal Year Annual Research Report
人工衛星と地上大型レーダーによる雷放電と電離圏擾乱現象の電気的結合の解明
Project/Area Number |
07J00631
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
足立 透 Kyoto University, 生存圏研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 雷放電 / 電離圏 / スプライト / エルブス / MUレーダー / ISUAL / VLF / 大気電気 |
Research Abstract |
雷放電による対流圏・電離圏間結合を明らかにするため、地上・衛星観測と数値シミュレーションによる統合研究を行った。まず、京都大学MUレーダーとVLF帯電磁場センサーの同時観測データを詳細に解析した。その結果、2008年8月23日の夜間22:05-22:07(LT)に4つの雷放電が発生し、それに1対1で対応する電離圏エコーを発見した。他のレーダー観測レンジに同様のシグナルが確認されないことから、本データは電離圏プラズマによる真のエコーと考えられ、雷放電による下部電離圏擾乱の存在が観測的に示された。さらに、対流圏・電離圏電磁結合を理論的に検証するため、米国・スタンフォード大学にて準静電場モデルや電磁パルスモデルによる数値シミュレーションに取り組んだ。これらのモデルを用いて、雷雲活動の時間スケール・電荷量が超高層大気に及ぼす影響を詳細に調べ、実観測結果と精密に比較した。その結果、静電場・電磁パルスが広範囲に渡って超高層大気を電離することが確かめられた。しかしながら、その電離度はMUレーダーが強いエコーを観測するには弱く、大規模な静電場・電磁波中に生じる微細なプラズマ構造の存在を併せて考慮する必要が示された。さらに、電離層F領域の鉛直・緯度構造を広域に渡って明らかにするため、FORMOSAT-2/ISUALによる630-nm大気光観測を実施した。この観測によって真夜中の地理赤道に極めて明るい大気光が見出され、夜間熱圏風によって作られるMTMなどの局所構造との関連性が示された。現在のところ、MTMは数値モデルでうまく再現されていないため、本研究結果は地理赤道における大気光のさらなる観測の必要性を迫るものとなった。
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Research Products
(4 results)