2007 Fiscal Year Annual Research Report
セルオートマトンにおける観測の理論とその貝殻のパターン形成への応用
Project/Area Number |
07J00635
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
春名 太一 Kobe University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | セルオートマトン / 観測 / 生物情報 / 圏論 / ネットワーク |
Research Abstract |
(Haruna,2007,Physica D)ではセルオートマトンにおける観測という問題に対して要素の属する文脈という観点から数理的な考察を行った。生物に関わる相互作用の多くは明らかに文脈依存的である。この論文ではセルオートマトンにおいて文脈をビット列で与え、相互作用規則は同じでも各細胞の属する文脈によって解釈が変わり不確定な振る舞いを示すことが可能となるモデルを提示した。特に相互作用規則がカオス的であっても、文脈の差異が状態への摂動の伝播を打ち消し、結果としてシステムに頑健性がもたらされる場合があることが示された。観測あるいは記述の問題は生物システムにおける階層性や情報といった問題と密接に関係している。従ってこれらの観点から研究することは非常に重要かつ有益であると考えられる。そこで、(1)生態系栄養段階の発達過程の記述に関する研究(Haruna, 2007, Int. J. Comp. Ant. Sys.)、(2)ネットワークモチーフと細胞内情報処理の関係に関する研究(Haruna, 2007, Postceedings of 2nd IWNC)、を行った。ともに研究手法として圏論を用いた。前者においてはまず、ネットワークにおける対象間の関係の関係をとる操作と関係の関係を実体化させる操作が数学的な意味で双対(随伴)になっていることを示した上で時間を導入し、段階間過程と段階内過程の間の区別を行った。そして段階間過程と段階内過程との間に生まれる不整合性が新しい栄養段階として実体化するという形で栄養段階の階層が発達していくという記述が可能であることを代数的に示した。後者では遺伝子転写制御や神経のネットワークなどにおいて頂点内で行われる情報処理のパターンを代数的に表現した上で、情報処理パターンが安定化されるという条件からいくつかのネットワークモチーフが得られることを示した。
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Research Products
(8 results)