2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J00641
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石川 慶太郎 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 適応度地形 / 実験進化 / ファージディスプレイ法 |
Research Abstract |
本年度は、原始的なDNA結合タンパク質の適応度地形に関する情報を得るために、進化実験で得られた変異体タンパク質のDNA結合能を評価した。評価の方法は表面プラズモン共鳴法を用いた。複数の変異体について調べた結果、いずれのタンパク質のDNA結合能も初期配列と同程度だった。また、CDスペクトル測定を行い2次構造の有無を調べた。その結果、2次構造をもたない初期配列との違いは見られなかった。すなわち、進化実験で得られた変異体タンパク質は、単体では機能も構造も変化していないことが分かった。 しかし、タンパク質を提示したファージ粒子のDNA結合能は世代を経るにつれて向上していた(方法は表面プラズモン共鳴法)。別の実験からは、ファージ粒子上へ提示されるタンパク質の量が増加していることが示唆された。まとめると、今回進化実験に用いた原始的なDNA結合タンパク質は、タンパク質単体としてはDNA結合能を維持しつつ、ファージ粒子上への提示率を上げ、その結果、ファージ粒子あたりのDNA結合能を向上させたことになる。この発見は、進化初期の段階において、タンパク質が元の機能を維持しつつ、それ以外の性質を変化させることで環境に適応し得ることを示した点で非常に興味深い。今後、タンパク質の配列の変化とファージ粒子としてのDNA結合能の変化を比較して、NKモデルに基づく適応度地形の解析を進めていく。
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